VST 取扱説明書 2008,11/20更新
オートガイダーVSTについて
VST とは VIDEO STAR TRACKER の略です。
本機は天体写真を撮る多くの天文ファンのために開発された自動ガイド装置です。
本機には、次のような特徴と機能があります。
VST は、天体写真を撮る多くの天文ファンの強い要望に答えるため、アナログ・デジタル・コンピューター技術を応用して開発した最新型のオートガイダーです。長時間の忍耐の手動ガイドから開放し、快適なオートガイド撮影を実現します。
天体写真の障害であるピリオディックモーション、大気差、極軸誤差をノータッチでほぼ解消します。
光センサーにCCDカメラ(普通のモノクロ、カラーに対応)を使いガイド星をテレビに映し出
します。
オートガイド中はテレビでオートガイドの様子や追尾精度を確認できます。
VST本体だけでオートガイドを実行できます。パソコンは使いません。
VST Ver4.1からパソコンからコントロール(オートガイド・パラメータ設定)できるようになりました。
VSTは、テレビ の画面を256X256(65536画素)の位置精度でガイド星を検出します。
VSTは、はじめの2分間の自動学習において、赤経・
赤緯ガイド方向の自動検出と赤緯バックラッシュの自動補正をおこないます。
VSTは、恒星のほかに、太陽、惑星、月、彗星核の自動追尾に応用が可能です。
DOG NS-200/500に標準で対応します。また、本体にリレーを内蔵してST-4コネクターを取り付けることができます。
これによりST-4対応の大部分のモータードライブに接続できます。
赤経・赤緯の交互修正により、赤経と赤緯の同時修正ができないモータードライブにも対応できます。
ビクセン社製 STAR BOOK、スカイセンサー2000、3D、3S、1軸、2軸モータードライブに完全に対応します。
ガイド鏡の口径や CCDカメラの感度にもよりますが、60mmガイド鏡で約5等星を検出しています。(ビクセンB05−3M)
小型、軽量で、極めて低消 費電力(約0.04A)です。
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オートガイダーVST Ver4.1 RS232Cコネクタ付属
VST を使用する前の準備
天体自動導入装置 DOG と接続する場合
(1) 天体自動導入装置 DOGの電源スイッチがOFFになっているか確認してください。
(2) VSTコネクタ(ケーブル先端のプラグ)をDOGへ差し込みます。
(3) 上図を参考にしてCCDカメラとテレビをビデオケーブルで接続します。
(4) VSTのガイドスイッチをOFFにしておきます。
(5) 以上で準備は完了です。DOGの電源スイッチを入れてください。
他社製 2軸モータードライブ、天体導入装置 と接続する場合
VSTは、汎用性を最大限に引き出すことを目的に設計しましたので接続可能な機種は極めて多様です。
接続可能な機種は次のようなものです。
1軸モータードライブ
2軸モータードライブ
天体自動導入装置(モーター駆動できるタイプ)
具体的なモータードライブとの接続方法については、ホームページで詳しく公開していますので参考にしてください。
NS企画 http://www.h6.dion.ne.jp/~nskikaku/
使用準備は接続するモータードライブの種類によって接続方法、改造方法、電源の供給方法等が異なるため、
お買い上げ店や付属の説明書等の指示を守って下さい。
以下に、基本的な注意事項をあげます。
(1) 接続は必ず電源スイッチが切れた状態で行ってください。
(2) VSTのガイドスイッチをOFFにしておきます。
(3) VSTを説明書等の指示に従って接続し、モータードライブの電源を入れます。
(4) VSTに別電源を供給する必要があるものは、+(赤・プラス)と−(黒・マイナス)に注意してバッテリーへ接続します。
VSTには電源スイッチが付いていませんので、すぐに動き始めます。
VSTの操作方法について
オートガイド前の準備(ガイドスイッチはOFF)
(1) 赤道儀に撮影カメラとガイド用望遠鏡を一緒に取付けます。
(2) ガイド望遠鏡の視野に適当なガイド星を入れます。
(3) CCDカメラを接続アダプターなどを使って、ガイド望遠鏡に取り付けます。
(4) テレビ画面に映るガイド星の星像を見ながらピントを合わせます。
(5) モータードライブの赤経キーを操作して、ガイド星の赤経方向とテレビの水平方向が同じになるように、
CCDカメラの取付け角度を調節します。多少ズレがあっても、ほとんどガイド精度に影響を与えることはありません。
(6) 次に、モータードライブのキーを操作して、ガイド星をテレビの中心付近に入れます。
VSTはテレビの画面に映るガイド星の位置によって次のように働きます。
VSTはテレビ画面を256 X 256 (水平256、垂直256) の分解能で、ガイド星の位置を検出します。
VSTはテレビ画面の2つの領域(中央付近、中心付近)を判断できます。
中央付近と中心付近の大きさは以下のとおりです。
中央付近 中心付近
Ver2,3 100×100 16×16
Ver4.1 160×120 16×12
VSTはガイド星を検出すると、その位置によって次のようにランプを点灯します。
(1) 中央付近の外では、消灯します。
(2) 中央付近では、点灯します。
(3) 中心付近では、点滅します。
ガイド星が中心付近(ランプが点滅)にある時に、オートガイドを始めることができます。それ以外ではスタートしません。
オートガイド(ガイドスイッチはON)
(1) ランプが点滅(中心付近)しているのを確認して、ガイドスイッチをONにします。
(2) すると、VSTは赤経・赤緯のガイド方向検出とバックラッシュ自動補正をしながらオートガイドしていきます。(自動学習)
(3) 赤経・赤緯のガイド方向を検出するまで、一時的にガイド星が中心位置より離れていくことがありますが、検出後、自動的に方向をかえて中心位置へ戻ってきます。
(4)ガイド星が中心位置へ到達すると止まり、その後VSTはガイド星が常に中心位置にあり続けるようにオートガイドします。
(自動学習中のオートガイドにより、ほぼ赤緯バックラッシュの影響が取り除かれます。)
(5) 約2分が経過するとVSTの自動学習が終了し、修正スピードは減速し、ゆっくりとした点滅になります。写真撮影はこの後に始めてください。
オートガイ ドの注意
オートガイドを始めてから約2分間は、瞬間的にでもガイド星が大きくズレた場合は、VSTはガイド方向を間違って認識する可能性があります。特に初めの 2分間は、衝撃、振動などを与えないように、ご注意ください。
ガイド星について
テレビに映っていても非常に暗い星の場合は、ガイド星として使えないことがあります。
テレビ画面に複数の星がある場合は、次の点に注意してガイド星を選んでください。
· VSTは画面の最も明るい星をガイド星として選択します。
· ガイド星以外は、少なくとも1等級以上暗いこと。この条件を守なら、テレビ画面にガイド用のスケール(GA −4など)も表示できます。
まれに、CCDカ メラの受光素子に欠陥があり、テレビ画面に明るい点となって現われることがあります。この場合、ガイド星はこの点より明るくなければなり
ません。
オートガイド中にガイド星が雲などで消えた場合は、ランプは消灯し、オートガイドを停止して、ガイド星の出現を待ちます。現われると、点灯とオートガイド
が再開します。
追尾精度について
ガイドスピードは、およそ0.25−2倍速以下に設定してください。DOGでVSTを使用する場合は、ワンショットガイドも可能です。
モータードライブ側で補正が可能なら、赤緯バックラッシュを最小にすると、追尾精度の点で有利になります。
オートガイド中に再び赤緯バックラッシュの修正に時間がかかってしまうこともありますので、なるべく正確に極軸 を合わせて下さい。
また、撮影カメラとガイド望遠鏡全体の赤経、赤緯の2軸のバランスをとりましょう。
ガイド星の星像が乱れていては、オートガイドの追尾精度に悪影響を与えます。良い追尾精度を期待するなら、なるべくシーイングの良い日を選んで下さい。
ガイド星の星像は小さい方が、追尾精度の点で有利です。明るいガイド星の場合は、星像が大きくなる傾向があります。この場合は、対物レンズの口径を絞る
と、効果がある場合があります。
追尾精度は、基本的にガイド望遠鏡の焦点距離に依存し、長くすればより高い追尾精度が期待できます。
焦点距離が短いガイド望遠鏡にCCDカメラを直接取り付ける(直焦)場合は、追尾精度はあまり良くありませんが。光のロスが無いため暗いガイド星が使えま
す。高感度のCCDカメラでは、60mmで5等星近くが映るようです。
星像の悪化が少なければ、エクステンダー(バーローレンズ)を使用して焦点距離を延ばし、CCDカメラを直接取り付ける(直焦)方法が最も効果的です。
目安としては、写真鏡の焦点距離を f とすれば、1/3インチCCDカメラの場合、主鏡やガイドマウントなどのガタ、タワミなどを考慮して1.5f以上の焦点距離が必要でしょう。
また、接眼レンズで視野を拡大する方法も使えますが、星像が悪化する傾向があるようです。
目安としては、テレビガイドができるぐらいの倍率が必要でしょう。
また、ハーフミラーなどを使った接続アダプター(例、GA−4)では、光のロスを考えて、ガイド星を撰ぶ必要があるでしよう。
焦点距離50mmで X1倍に相当します。
参考 データ
VST追尾精度の概算
· CCDカメラを直接取り付ける直焦点方式
· 1/3インチCCDカメラ・・・・受光面 6mm(水平)X5mm(垂直)
· ワーストケースとして最大3画素分のオートガイドエラーが起こると仮定(これは最悪値で、実際はこれよりも 良好です。)
· 合成焦点距離 f における追尾精度を概算する。
f=1000mm ±7.2”
f=2000mm ±3.6”
f=4000mm ±1.8”
1/3インチCCDカメラ(ビクセンB05−3M)、ガイド望遠鏡ボーグ76ED金属鏡筒,X2.4バーローレンズで合成焦点距離を約1200mmにし
て、IntesMK69(15センチマクストフf=900mm)+EM200+ニコンF801Sで
「ヘールボップ彗星の核追尾撮影をしたところ15分ほどでしたが、良好なオートガイドができました。」(児玉広幸様北海道札幌市)
1/3インチCCDカメラ(SONY製)、ガイド望遠鏡の合成焦点距離4000mmで約
± 2”の追尾精度が得られています。
(セレストロンC8,X2 エクステンダー Canon 製、ガイドスピード0.5倍速)(コンピューターシステムテレスコープ社、代表早川修司様)
1/3インチCCDカメラ(ビクセンB05−3M)、ガイド望遠鏡FC−60,
2倍アタッチメント + バリエクステンダー + バリチューブ(タカハシ)で合成焦点距離を約1500mmにして、
タカハシ MT−160(レデューサー使用)、ペンタックス 105SDHFで良好なオートガイドができています。(北島豊治様北海道河東郡)
仕様
· 外形寸法 45X130X135(mm)
· 重量 約 400グラム
· ビデオ入力 75 オーム 1Vp−p
· ビデオ出力 75 オーム 1Vp−p
· 消費電流 最大80mA 以下 (実側値 約40mA)
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電源 DC12V(9 − 13V)
VST Ver2,3では、VST DOG用として、電源 DC5V ±10%以下(DOGが供給)
VSTコネクター (プラグ、DIN
8P オス)
信号線、電源、アース(GND)の配置図
回路図については、NS企画ホームページを、ご参照ください。
本機の保証期間は、お買い上げ日から1年です。この間に発生した故障で、原因があきらかに当社の責任と判定された場合は無償修理いたします。お客様の使用誤りによる故障の場合は、保証の対象になりませんので、あらかじめご承知下さい。
本機を使用することで、お客様または第三者が受けられた如何なる損害も、一切その責任を負いませんので、あらかじめご承知下さい。
この取扱説明書の内容および本機の外観は、改良のため予告なく変更することがあります。
VIDEO STAR TRACKER VST 取扱説明書
制作/編集 NS企画 http://www.h6.dion.ne.jp/~nskikaku/
Ver1.2 1995,2/24,11/15
Ver1.3 1996,2/12,2/17,3/12
Ver2.01 1996,11/19
Ver2.02 1997,3/20 (インターネットホームページ用),名称をVST−2とする、8/7
Ver3.0 2007,3/22、4/27 説明書改訂,5/26
Ver4.1 パソコン対応により一部文章を改訂する,2007,8/14
2008,11/20文章を更新した
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