オートガイダーSST 取扱説明書 (2007,10/18)



目次

 

1 オートガイダーSSTについて

 

2 概観と名称

 

3 使用上の注意

 

4 SSTを使用する前の準備

 

5 SSTの操作方法について

 

6 ガイド星の導入方法について

 

7 ガイド望遠鏡の焦点距離について

 

8 SSTの取り付け方法について

 

9 SSTのランプの点灯について

 

10 ガイドスイッチを入れる前に

 

11 オートガイドと追尾精度について

 

12 仕様

 

 

1 オートガイダーSSTについて

 

SSTとは SUPER  STAR  TRACKER の略です。

本機は天体写真を撮る多くの熱心な天文ファンのために開発された自動ガイド装置です。

 

天体写真を撮る場合に避けられなかった長時間の苦痛と忍耐の手動ガイドから開放し、

快適なオートガイド撮影を満喫できます。

 

天体写真の障害であるピリオディックモーション、大気差、極軸誤差をノータッチで

ほぼ解消します。

 

SSTは、ほとんどの赤道儀につないで使用できます。

2軸モータードライブでは2軸オートガイダー(赤経と赤緯の両軸)となり、1軸モータードライブでも1軸オートガイダー(赤経のみオートガイド、赤緯軸はランプによる手動補正可能)としてご利用いただけます。

 

SSTは、天体自動導入装置DOGにワンタッチで接続できます。
それによりDOGに内臓されている、ガイド機能、バックラッシュ機能、「リニアガイド」などの機能を活用できます。

 

SSTは受光素子として4素子型シリコン・フォト・センサーを採用し、
10ミクロンのガイド星のズレを検出することができます。

10ミクロンはf=1000mmのガイド望遠鏡でおよそ2”に相当します。

焦点距離の長いガイド望遠鏡を使用すればより高い追尾精度が可能です。

 

65mmのガイド望遠鏡で3等星までガイド星として使用できます。

 

ガイド星が見えている限り露出時間の制約はありません。

 

5個のLEDランプの点灯により、オートガイドの状態と8方向のガイド星のズレを

容易に知ることができます。

 

操作方法が簡単です。小型(120×80×49),軽量(220g)です。

 

低消費電力です。平均0.04アンペア。

 

 



2 外観と名称

 

 





 

 

3 使用上の注意

 

1 電源コードの接続を絶対に間違えないように注意してください。

  本機を破損する危険があります。

 

2 電源を一度OFFにした時は、5秒以上たってからONにして下さい。

 

3 極端な高温や低温下での使用は避けて下さい。

 

4 極端に湿度の高い場所(夜露)や、ほこりの多い場所での保管および使用は避けて

下さい。本機は超高感度のセンサーで微弱な光を検出していますので、本機の

電子回路が結露した場合、感度が低下する可能性があります。もしもそうした症状が

現れたら直ちに使用を止め、良く乾燥させてください。

 

5 本機は精密な電子部品でできていますので、衝撃を加えたり、衝撃振動の加わる場所での

保管、および使用は避けてください。

 

6 本機の裏ぶたを開けたり、分解、改造したりしないでください。保証をうけられない場合があります。

 

 

 

 

4 SSTを使用する前の準備

 

SST DOG専用機の場合

 

1 天体自動導入装置DOGの電源スイッチがOFF(下向き)になっているか確認してください。

 

2 SSTのガイドスイッチをOFFにしておきます。

 

3 SSTケーブルのプラグをDOGのSST用コネクターへさしこみます。

 

以上で動作準備は完了です。

DOGの電源スイッチを入れてください。

 

(注意)DOGとその他の注意については、DOG取扱説明書「4 電源スイッチを入れるまでの手順」等をご参照ください。

 

 SST汎用機の場合

 

SST汎用機は開発当初からその汎用性を最大限に引き出すことを目的に設計しました。

そのため、接続可能な機種は極めて多様です。

・1軸モータードライブ

・2軸モータードライブ

・天体自動導入装置(モータ制御できるタイプで、エンコーダー方式を除く)

 

SST汎用機の使用準備は接続するモータードライブの種類によって、その接続方法、改造方法、

電源の供給方法等が異なるために、お買い上店や付属の説明書等の指示を守ってください。

 

以下に全てに共通する注意事項をあげます。

1 接続は必ず電源スイッチが切れた状態で行ってください。

2 SSTのガイドスイッチをOFFにしておきます。

3 SSTの赤経・赤緯逆スイッチを左にしておきます。

4 SSTを説明書等の指示に従って接続し、モータードライブの電源を入れます。

5 SSTに別電源を供給する必要があるものは、+(プラス)−(マイナス)に注意してバッテリーへ接続します。

  SSTには電源スイッチがついていませんので、すぐに動き始めます。

(注意)SSTの動作が安定するのに多少時間がかかる場合がありますので、電源投入後2〜3分ほど経過してからご使用ください。

 

 

 

 

5  SSTの操作方法について

 

ここでは、手動ガイドの方法とオートガイドの方法を比較することで、オートガイダーSSTの操作方法と働きについて簡単に説明します。

 

* 手動ガイドの方法

 

■準備

1 赤道儀に撮影カメラとガイド用望遠鏡を一緒に取り付ける。

2 ガイド用望遠鏡に十字線つきの接眼レンズをつける。

3 ガイド用望遠鏡を、撮影写野に近い適当なガイド星が十字線の交点にくるように固定する。

 

■ガイド中 (以下の作業は全てガイド者自身でおこないます)

1 注意深く、人間の眼視でガイド星が十字線の交点にあるか監視を続ける。

 

■ガイド中にピリオディックモーション等により追尾誤差が発生

1 眼視によりガイド星が十字線の交点からズレたことを知る。

2 ズレた方向を判断する。

3 ズレを打ち消すにはモータードライブのどのキーを押すか一瞬考える。

  モータードライブのキー方向と視野内のガイド星の移動方向が違う場合、しばしば押すべきキーを間違える。

4 指で、慎重にモータードライブのキーを押す。間違えた時は、あわてて離し、3を繰り返すが、やりすぎた場合は、失敗写真を覚悟する。

 

* オートガイドの方法 

 

■準備

1 赤道儀に撮影カメラとガイド望遠鏡を一緒に取り付ける。

2 ガイド用望遠鏡に導入と焦点を合わせるための接眼レンズを付け、ピントを合わせる。

  6 ガイド星の導入方法について

  7 ガイド望遠鏡の焦点位置について

3 撮影写野に近い適当なガイド星が、視野内の中心にくるようにモータードライブを動かす。

  6 ガイド星の導入方法について

4 接眼レンズを取り去り、視野内の赤経方向とSSTの赤経方向を平行にして、SSTを取り付ける。

  8 SSTの取り付け方法について

5 SSTのランプが点灯するようにボリューム(感度)を調整する。

  次に、SSTのランプとモータードライブのキー方向が一致しているか確認をする。

  違う場合は必要な作業を済ませる。

  9 SSTのランプの点灯について

 10 ガイドスイッチを入れる前に

6 ガイドスイッチをONにしてオートガイドを始める。

 

 

■ ガイド中 「以下の作業は全てオートガイダーSSTが自動的におこないます」

1 正確に、ガイド星(焦点像)が4素子型シリコン・フォト・センサーの中心位置

(スリットの交点)にあるかアナログ回路が監視を続ける。

 

■ ガイド中にピリオディックモーション等により追尾誤差が発生

1 4素子型フォトセンサーによりガイド星が中心位置からズレたことをアナログ回路が検出する。

 

2 ズレた方向をデジタル回路が判定する。

 

3 デジタル回路がズレを打ち消すモータードライブのキーを、一瞬にして決定する。

  モータードライブのキー方向と視野内のガイド星の移動方向が違っても、決してキーを間違えない。

 

4 SSTのトランジスタースイッチが、正確にモータードライブのキー(スイッチ)をON(押す)する。

 

 

 

 

6 ガイド星の導入方法について

 

SSTをガイド望遠鏡に取り付けるときは、事前にガイド星を視野の中央に導入してください。

 

SSTは受光素子として4素子型シリコン・フォト・センサーを採用しています。

受光面は下図のような構造をしており、その大きさは0.6×1.2mmです。

 

SSTは、ガイド星の焦点像を受光素子で検出することで、オートガイドします。

そのため、受光面はガイド望遠鏡の対物レンズの焦点位置に置く必要があります。

これは、天体写真を撮る直焦撮影法と同じ原理です。

焦点位置の合わせ方については、7 「ガイド望遠鏡の焦点位置について」を、ご参照ください。

 

受光素子は、取付金具のほぼ中央にあります。そのためガイド星の焦点像を受光素子に入れるために、ガイド望遠鏡の焦点距離に応じて、なるべく正確に視野の中央に導入してください。

 許容範囲はおよそ次のとおりです。

  ガイド望遠鏡の焦点距離  許容範囲

     f= 500mm  約±2’

     f=1000mm  約±1’

「正面」


ガイド星の焦点像が受光素子に入ると、その位置に応じてランプA〜D、ランプXが点灯します。

以上については、9 「SSTのランプの点灯について」を、ご参照ください。

 

SSTは、スリットXが赤経方向、スリットYが赤緯方向になるように、ガイド望遠鏡に取付られます。

以上については、8 「SSTの取り付け方法について」を、ご参照ください。

 

上記の許容範囲のおよそ3倍の視野が受光面に結像(焦点像)する可能性があります。

そのため、視野に複数の星がある場合は、次の点に注意してガイド星を決定してください。

 

1 視野内の最も明るい星をガイド星とすること。(注意、11 「オートガイドと追尾精度について」を参照)

2 ガイド星以外は、少なくとも1等級以上暗いこと。

3 等級差があっても、2重星は避けること。

 

SSTで採用した4素子型シリコン・フォト・センサーの分光感度特性等の仕様は次のとおりです。

1 波長範囲    330〜1050nm

2 ピーク感度波長 900nm

3 窓材      ほう珪酸平板ガラス

 

受光素子には、受光面を保護する窓がついています。これがホコリ、油などで汚れると

SSTの感度が低下するほか、場合によってはオートガイドが出来なくなる可能性があります。

そのため、特に受光素子の部分の取り扱いに注意してください。

どうしても、清掃の必要があるときは、光学レンズと同等の注意をもって行ってください。




 

7 ガイド望遠鏡の焦点位置について

 

SSTは、天体写真の直焦撮影法と同じ原理で、その受光素子(受光面)をガイド望遠鏡の焦点位置に置く必要があります。

 

下図のように、焦点位置をドロチューブの先端位置に合わせてください。SSTはガイド望遠鏡に取り付けたとき、

その焦点位置が受光面にピッタリ合うように設計してあります。

 

 

 

焦点を合わせる方法として、次の2つが考えられます。

@ナイフエッジ法(ロンキースクリーン法)

Aその焦点位置でピントがある接眼レンズ(アイピース)を使う方法

 

SSTをガイド望遠鏡に取り付けるとき、焦点位置を合わせる他に、ガイド星の導入、

SSTの取り付け方向を合わせるなどの作業が必要になります。これらの作業をスムーズに行うためにも、

Aの接眼レンズを使った方法を、お薦めします。

接眼レンズの方法では、ガイド望遠鏡のピントを合わせ、ガイド星を視野の中央に導入し、

その赤経方向にSSTを合わせて取り付けるだけで完了します。

 

使用可能な接眼レンズの一例  ビクセン社製 Or9mm(24.5)

この他にもいろいろとあります。お手持ちのアイピースでお確かめください。

詳しくは、お買い上げ店にご相談ください。

 

ガイド星の導入方法については、6 「ガイド星の導入方法について」を、ご参照ください。

 

SSTの取り付け方向については、8 「SSTの取り付け方法について」を、ご参照ください。

 




8 SSTの取り付け方法について

 

ガイド星を視野の中央に導入し、ガイド望遠鏡の焦点位置を合わせたなら、SSTの方向に注意してガイド望遠鏡に取り付けます。

この作業は取り付け後、オートガイド開始前に行う方向の確認作業に影響を与えますのでなるべく正確に行ってください。

しかし、方向に多少ズレがあっても、ほとんどガイド精度に影響をあたえることはありません。

以下の手順に従って作業を進めてください。

 

1あらかじめモータードライブの赤経スイッチを動かして、ガイド星の赤経方向を確認しておきます。

 

2ガイド星を視野の中央にもどし、接眼レンズを取り去ります。

 

3取り付けに際しては、下図のように視野内の赤経方向とSSTのランプA−B(C−D)を結ぶ線が

 平行(重ねあわせるように)になるようにしてドロチューブヘ差し込み、確実に固定します。

 

4SSTをガイド望遠鏡に固定すると、ランプA−Dのいずれかが点灯します。

 点灯しない場合は、ボリュームを右(時計方向)に回して感度を上げてください。

 

これにより、受光素子のスリットXは赤経方向、スリットYは赤緯方向に一致します。

 

以上の取り付け作業を行うことで、ランプA−Dの点灯で受光面上のガイド星(焦点像)の位置、

赤経方向、赤緯方向が明瞭にわかるようになります。

これについては、「9 SSTのランプの点灯について」 を、ご参照ください。

 

 

 

 

9 SSTランプの点灯について

 

SSTは、ガイド星の焦点像が受光素子(受光面)にあれば、その位置に応じてランプA−D、ランプX(グリーン色)を点灯します。

 

受光素子は、10ミクロンの幅をもつスリットX,Yにより、4つの独立したセンサーA−Dに分離されています。

ガイド星の焦点像が受光面にある場合、その焦点像の位置によって、下図のようにランプA−Dが点灯します。

これによって、中心位置から8方向のガイド星のズレ(位置)を知ることができます。

 

受光素子の感度は、ボリュームで可変できます。左が低く、右(時計方向)へ回すと感度が高くなっていきます。

ガイド星のあかるさに応じてボリュームを調整し、ランプが点灯するようにしてください。明るいガイド星では、最低感度でも

点灯することがあります。{注意、最高感度付近はおもに受光素子の暗電流によって、

光が全く無い場合でもランプが点灯することがありますので、感度を上げすぎないように注意してください}

11 「オートガイドと追尾精度について」を、ご参照ください。

 

受光素子のスリットXはランプA−B(C−D)を結ぶ線、スリットYはランプA−C(B−D)を結ぶ線と平行になるように、

SSTは作られています。

 

SSTは、スリットXが赤経方向、スリットYは赤緯方向になるようにガイド望遠鏡に取り付けられます。

従って、ランプA−B(C−D)を結ぶ線は赤経方向、ランプA−C(B−D)を結ぶ線は赤緯方向と一致します。

これについては、8 「SSTの取り付け方法について」を、ご参照ください。

 

 

SSTは、ガイド星の焦点像が常に受光面の中心位置にあり続けるように、オートガイドします。

焦点像が中心位置にある時にのみ、SSTはランプX(グリーン色)を点灯します。

この時、ランプA−Dの1〜4個が明滅したりします。

 焦点像が中心位置に入ると光量が4等分されるため、ランプが正常に点灯しないことがあります。

その場合は、ボリュームの感度を上げてランプA−Dの1〜3個ぐらいが、ゆっくり点滅するぐらいに合わせてください。

感度は低めの方が良い結果が得られるようです。

 

10 ガイドスイッチを入れる前に

SSTをガイド望遠鏡に取り付けた後、オートガイドを始める前にモータードライブのキー方向とランプA−Dの点灯の方向が一致しているか確認する必要があります。
以下の手順を参考にして赤経、赤緯の方向を合わせてください。

@ 仮にランプが下図(1)の状態にあるとすれば、モータードライブの赤経を押すと(1)>(2)>(3)と点灯が変わるようなら赤経方向が一致しています。しかし、逆であればランプがきえてしまいますからキーを押して(1)に戻します。

赤経方向が逆であるときは次のようにします。

モータドライブ側にキー反転(交換)機能がある場合は、←→キーを反転して方向を合わせてください。
天体自動導入装置DOGでは「データモード」のキー反転機能を使用してください。
一般のモータードライブでは、赤経逆スイッチを左のままにしてキー反転してください。
(例、タカハシ製赤道儀のモータードライブでは、一部オペレーションモードスイッチを使ってキー反転できるものがありますので試してください)


*キー反転の出来ないモータードライブでは、赤経逆スイッチを右に倒してください。
これは
SSTに赤経方向が逆であることを知らせるだけで、モータードライブの←→キーが反転するものではありませんので、注意してください。


A ランプが(3)の状態で、モータードライブの赤緯キーを押すと(3)>(4)>(5)と点灯が変われば、赤緯方向が一致しています。しかし、逆であればランプがきえてしまいますからキーを押して(3)に戻します。

モータドライブ側にキー反転(交換)機能がある場合は、↑↓キーを反転して方向を合わせてください。
天体自動導入装置DOGでは「データモード」のキー反転機能を使用してください。
一般のモータードライブでは、赤緯逆スイッチを左のままにしてキー反転してください。)


*キー反転の出来ないモータードライブでは、赤緯逆スイッチを右に倒してください。


■以上の作業が終わったら、ただちにオートガイドを実行できます。
ガイドスイッチをONにしてください。しばらくすると、ランプX(グリーン色)とランプA〜Dの1〜2つ、または3つぐらい点灯します。

■オートガイド中、ランプXと、ランプA〜Dがゆっくり点滅するぐらいに、ボリューム(感度)をあわせると良いでしょう。
(感度は低めの方が良い結果が得られるようです)



11 オートガイドと追尾精度について

■SSTには、これまで述べてきた他に以下の機能があります。

1全てのランプが消灯している場合は、動作を停止し、モータードライブの恒星時駆動の状態を継続しています。
 ・ガイド星が雲などで消えた場合は、全てのランプは消灯し恒星時駆動となります。
 ・雲からガイド星が現れた場合は、恒星時駆動からオートガイドを再開します。

2 「10 ガイドスイッチを入れる前に」の(1)〜(8)が図のように点灯するならば、オートガイドを実行できます。
 中心位置(9)にあるとき、ランプXが点灯せず、またランプA〜Dの4つ、または3つが点灯しなくてもオートガイドが可能です。ただし、この場合は若干追尾精度が悪化する可能性があります。このことは比較的暗いガイド星を使用する場合に役立つことがあります。

3ランプA〜Dの4つ、または3つが点灯した時、ランプXが自動的に点灯します。
 ランプXは、中心位置を分かり易くするために設けました。

■ガイド星が極端に明るすぎる場合は、フォトセンサーの窓材の乱反射などによって、全てのランプが点灯したままになり、オートガイドができないことがあります。そのためガイド星を選択する場合は、

1 口径65mmでおよそ1.5〜3等級ぐらいのガイド星が適当です。
2 明るすぎるときは、対物レンズに絞り付けて光量を減らしてください。

■ボリュームを回して感度を上げていくと、最高感度付近でおもに受光素子の暗電流によって光が全く無い場合でもランプが点灯することがあります。SSTは暗電流の影響があると正常にオートガイドができません。ランプの点灯がガイド星か暗電流かの区別は以下によって分かります。

1 SSTが正常にオートガイドしているときは、ランプA〜Xがゆっくり点滅したりしますが、暗電流の場合は点灯したままになっています。
2 ガイド星が中心位置にあるとき、ガイド望遠鏡の対物レンズを手でふさいでも、全てのランプが消えない場合は暗電流です。確実にランプが消えるところまで感度を下げてください。

■オートガイドに於ける追尾精度は、以下の要因などで変化します。

1 シーイング
大気の乱流による星像の乱れは、オートガイドの追尾精度に直接影響を与えます。良い追尾精度を期待するなら、なるべくシーイングの良い日を選んでください。

2 ガイド望遠鏡の焦点距離
ガイド星の焦点像の大きさが同じであれば、追尾精度は、基本的にガイド望遠鏡の焦点距離に依存し、長くすればより高い追尾精度が期待できます。星像の悪化が少なければ、バーローレンズを使用するのも手軽で効果的な方法ですのでお試しください。

3 ガイド望遠鏡の対物レンズの種類
SSTで採用した4素子型フォトセンサーは、赤外線領域(900nm)に最高感度をもっていますので、色収差の大きいレンズでは追尾精度に対し不利かもしれません。

4 ガイドスピードとバックラッシュ
多くのモータードライブで採用しているガイドスピードは、0.5倍速から2倍速程度です。1000mmを手動ガイドする場合は、0.5倍速でも少々オーバースピードと言われています。技術的にはガイドスピードは自由に設定できるはずなのですが、ほとんどのモータードライブはそうしたスピードになっています。その理由は、赤緯のバックラッシュが低速にすればするほど逆転時間がかかるように作用するため、操作性の観点から無視できなくなるためです。

オートガイドで使用するガイドスピードは、手動ガイドでも無理のないスピードにしたほうが追尾精度の点で有利になります。
500mm以上のカメラでは、0.5倍速以下にしたほうが良い結果が得られるようです。

バックラッシュによる空転時間が少ないほど、赤緯方向に於ける追尾精度が有利になります。バックラッシュ補正機能がある場合はそれを利用してください。

天体自動導入装置DOG(NS−3シリーズ以上)をご使用になる場合は、バックラッシュ補正機能で空転時間が最小になるように「補正パルス量」と「補正スピード」を設定し、ガイドスピードはカメラの焦点距離に応じて「リニアガイド」の0.03、0.06、0.12、0.25,0.5倍速からお選びください。



■実際のオートガイドによる追尾精度がどのくらいか、ご参考として例をあげます。
・ガイドスピード 0.5倍速
・ガイド望遠鏡   FC60                f=500mm   約±5”
                GT68                f=600mm   約±6”
                口径60mm              f=540mm   約±6”
                口径68mm              f=1000mm 約±4”
                FC60+2倍バーロー  f=1000mm 約±2.5”  



12 仕様

外形寸法                 120×80×40 mm

重量                     約220g(ケーブルを含まない)

受光素子                 4素子型シリコン・フォト・センサー

使用IC                 BiMOS OP AMP/CMOS IC

追尾可能なガイド星       外気温19°C以下 口径65mmガイド望遠鏡で3.0等星まで

使用条件                 結露しないこと

 

 

一般用

電源             DC9〜13V

消費電流         80mA以下(平均約0.04アンペア)

 

DOG用

電源は天体自動導入装置DOGが供給



SUPER STAR TRACKER SST取扱説明書 製作/編集 NS企画

Ver1.0  1992,6/17

Ver1.1  1992,11/30,1994,6/10

2007,10/18 インターネット公開にあわせて、一部、説明の追加、修正をした。

 

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